アルバムレビュー

NINE INCH NAILS LIVE:AND ALL THAT HAVE BEEN /NINE INCH NAILS
鬼才トレント.レズナーのプロジェクトNIN、その初のライヴ音源である。本作には、2000年4月〜6月まで行われた”フラジャイリィティV2.0”ツアーから選りすぐられたテイクが収録されている。
内容はというと、凄まじいの一言。トレントの危うさのようなものが、スタジオ版にもまして伝わってくる物凄いライヴだ。激しく、そして、生々しい叫びはノイズの塊となり、脳をえぐる。そして、きっと本作に触れた者はこう思うだろう、美しい、と。一聴すると、耳ざわりとも感じられる音なのだが、不思議と飲み込まれてしまう。この孤独、狂気をはらんだ本作を美しいと思える自信のある方は、いますぐ買いに走ろう!初回のみ2CDなので、急がないと売り切れるかも。初回のみに付属するCDは、新曲、未発表テイク集でこちらも一聴の価値あり。買うなら絶対、初回版。DVDも出てます。こちらもすごいらしい。



RAGE AGAINST THE MACHINE/RAGE AGAINST THE MACHINE
93年発表のRAGE AGAINST THE MACHINEの、バンド名と同名のデビュー作。NIRVANA『NEVERMIND』、METALLICAのブラックアルバムなどと同様、ロックの90年代以降を作った超重要作。
このバンドは、警察暴力批判などを壁画を通して主張した父と、反戦運動家の母を持つネイティブ・アメリカンのザック・デ・ラ・ロッチャ(Vo)と、ケニアの民族過激派マウワウ団の一員である父と検閲反対運動の活動家の母を持ち、ハーバード大を主席卒業後、上院議員の秘書を経験したという経験を持つトム・モレロ(G)の出会いがきっかけで結成された。
二人の経歴からもわかる通り彼らの音楽から放たれるメッセージは、非常に社会的だ。
このアルバムは、ジャケット(ベトナム戦争に反対し焼身自殺した僧侶)も含め、妥協を許さない全力のメッセージが込められている。
激しくシャウトするザックのヴォーカル一つ一つが、本気を感じられる。そして、分類不能のトムの変態ギタープレイが素晴らしい。その音は激しく、かつグルーヴィで聴く者の心をゆさぶる。デビュー作にして、いわゆるへヴィロック、ミクスチャー系の完成形である。
彼らの代表曲も多数収録されており、全ての音楽ファンに聴いて欲しい作品だ。

なお、現在、ザックがバンドを脱退、今後の動向が注目される。



QUEEN2/QUEEN
英国の誇る伝説的バンド、QUEENの74年発表の2nd。A面をサイド・ホワイト、B面をサイド・ブラックという2つ顔を持つアルバムとしてリリースされた。
ブライアン・メイ(G)による美しい音色のA面、フレディ・マーキュリー(Vo)によるめまぐるしい曲展開のB面、このバランスが絶妙な歴史的名盤である。特にB面の息のつかせぬ展開は素晴らしく、"Ogre Battle"に始まり、"Seven Seas Of Rhye"に終わるコンセプト的な流れになっている。
執拗なまでのコーラスの多重録音、ギターの不思議な音色は、当時の世界に衝撃を与えた。シンセサイザーを使っていないことをわざわざクレジットしたことも有名。
ちなみに、クエストのオウガバトルシリーズは、このアルバムの世界観を踏襲したものである。 



A MAN OF THE WORLD/BRAHMAN
最強のジャパニーズロックバンドの1つ、と言っても決して過言ではないBRAHMAN。98年発表の1stフルアルバム。インディ・チャートで半年以上、1位をキープし続けた。
内容は、90年代を代表する名盤と呼ぶにふさわしい。全11曲、全てがクライマックスと言っても過言ではない緊張感。かつ、心を打つエモーショナルなメロディ。クオリティの高さはケタ違いだ。
最初から最後まで、息をつかせず一気に聴けてしまう。1曲目の"That's All'"から"There's No Shorter Way"という流れが見事。嫌が応でもテンションが上がる。そして、聴き入ってしまうだろう。激しく、かつ心を締め付けるメロディをたたえ、曲は進行する。そして、11曲目の時ノ鐘を聴き終わった時、聴き手は、我に返り、思わずため息を吐くだろう。それほどまでに、手に汗にぎる凄さがこのアルバムにはある。
日本のバンドなんてくだらねえ、と思っている諸氏にも是非オススメしたい。



メッセージ/モンゴル800
このアルバムはすごく売れている。すごく売れる作品がすごく良いかというと甚だ疑問である。
では、このアルバムはすごく良いのか?と聞かれると、すごくではないが良いと答える。
演奏は下手だし、歌詞も陳腐な部分が少なくない。だが、これに共感できる人にとっては、この作品はなにものにもかえがたい魅力があるだろう。
モンゴル800は沖縄出身のロックバンドだ。歌詞などにもそれを感じられる部分が多い。曲はストレートなロックで、ときおりメロコア風の哀愁のメロディが存在する。
このバンドがなぜそんなに売れるか。それは、このアルバムのタイトルでもあるメッセージであると思う。このバンドのすごく正直だ。難しいことは何一つしていないが、とにかくみみざわりがよく、歌詞がストレートに理解できる。おそらく、購入者の大半は10代から20代前半だと思う。なぜなら、そのメッセージは、ストレートすぎるがゆえ、少し青臭く感じるからだ。だが、そこがこのバンドの長所でもあるだろう。このアルバムに込められたメッセージは、すごく正直だ。愛、平和、そんな思いがまっすぐに感じられる。日本人ならだれでも共感し得る部分が必ずあるだろう。
このアルバムのメッセージが素直に感じられる人はきっと幸せだ。





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