おはなし

PSO等の物語です。

お見合い

 オレは、仲間のハンターズの中でも、最もかっこいい男だ。
 女性にも優しく、同性にも信頼されている。
 そして、なにより、その強さはウワサになるほどだ。
 
 ひゅま男(仮名)は、少々、見栄っ張りな男だ。ハンターズギルドでヒューマーをしているが、腕はあまり良いとはいえない。(そして、なぜかホプキンスと気が合う。)
 実のところ、彼の年齢=彼女いない歴である。そんな彼に今回、お見合いの話が飛び込んできたのだ。
 ハンターズの先輩ハンターの紹介である。ひゅま男(仮名)は、表面上渋ったフリをしたが、本心は大喜びだった。
 その時に、
「先輩、このかっこいいおれが、お見合いなんてしたら、女の子が泣きますよ。なんせ、一日に、二回告白されるもてっぷりっすから。」
 などと言って、仕方なさそうに写真を見た。金髪と青い目が特徴的な、小柄な女性だった。
 ひゅま男は、もう嬉しさで飛び上がりたいほどであったが、
「今回だけっすよ。先輩の顔つぶすわけには、いかないっすから。」
 などと、さも困ったような口ぶりでその場を離れた。顔は思いっきりにやけていた。

 
 そして、今日は、そのお見合いの日なのだ。
 ひゅま男(仮名)は、昨夜は興奮してよく眠れず、何回も読み直したはずの女性との付き合いかたを特集した、若者向けの雑誌にまた何度も目を通した。

 オレのようにかっこいい男が失敗するわけがないさ。
 そろそろ家を出る時間か。どれ、通販で買ったこのフェロモン香水をたっぷり、ふりかけて、と。
 場所は、頑固鳥とかいう料亭だったな。こういうときは、相手より早くつかないとな。

 ひゅま男(仮名)は、予定の時間より大分早く、「頑固鳥」に着いた。高級そうな和風のつくりの料亭だった。ピンク色のレイキャシールの案内係に座敷に通され、緊張しつつ、相手を待った。貧乏ハンターのひゅま男(仮名)には、こういう店は初めてであった。
 庭のししおどしが何度か鳴った頃、相手は、現れた。写真で見るよりずっと小柄な女性であった。
 はじめは、緊張していたひゅま男(仮名)であったが、店の雰囲気のよさと、相手の気さくさに、いつしか、いつもの饒舌さを取り戻していた。

「ふぉま子(仮名)さんは、フォマールなんですか。いいですねえ。」
「ええ、ひゅま男さんこそ、ヒューマーなんて、たくましいですわ。」
 おお、好感触。ここで手を休めず、オレのかっこよさをアピールしないとな!
「まあ、素手で、ブーマを殴り倒すくらい軽いですよ!」
「そうなんですか。さすがですわ。」
「ふぉま子(仮名)さんは、好きな武器とかってありますか?」
「それはもちろん、バ・・・!ゲフンゲフン・・・。」
「・・・バ?」
「い、いえ、フラワーケインが好きですわ。おほほ・・・。」
「ははは、かわいらしいなあ。」
「ぴょ♪」
「ぴょ?」
「い、いえ・・・。ゲフンゲフン・・・。」
「ははは、面白い方だなあ。」
「おほほ(汗)。」
 天然か?でも、そこが萌えるよなあ。
「しかし、ここの料理おいしいですね。」
「ええ、板長は、顔なじみなんですの。」
「へえ、そうなんですか。」
「ええ、ここの板長もハンターズですのよ。」
「なるほど、お会いしたいなあ。ああ、すみません、板長呼んでください。」
 ここはチップでも渡して、オレのきっぷのよさをアピールしないとな。
「だめですっ!!」
「ふぉま子(仮名)さん、どうかしたんですか?」
「が・・・!ゲフンゲフン・・・。板長さんはお忙しいので・・・。」
「は、はあ、そうですか・・・。」
 「が」って板長の名前か?
「そ、そうですわ。森でも散歩しませんこと?」
「いいですね。」
 よし、ここで、キメるぜぇ!! 
 
 二人はチームを組んでラグオルの森に降り立った。

「ひゅま男(仮名)さんの武器、かっこいいですわね。」
「ああ、これですか。なあにオロチアギトですよ。」
 本当は偽アギトだけど、ばれないだろ。
「すごいですわ。」
「なあに、僕に言わせれば、クズレア同然ですよ。」
 どれ、少々もったいないが、ヴァリスタでもプレゼントするか。
「ふぉま子(仮名)さん、これ使ってください。」
「まあ、いいんですの?」
「ええ、僕の気持ちですよ。」
 決まった!!
「私、ハンドガン使うのってあまり得意じゃないんですの。衝撃がおさえられなくって・・・。」
 かよわくて、萌え〜!!
「僕が手取り、足取り教えますよ!!じゃ、行きましょうか!」
 どれ、かっこいいオレの瞬殺っぷりでも見せてやるか。

 森のエネミー相手に、ひゅま男(仮名)は、見事なまでの大人気ない瞬殺&先行っぷりを見せた。
 それに気づかないほど、ひゅま男(仮名)は舞い上がっていた。そして、ボスの手前まで到達した。

「ふぉま子(仮名)さん、ここを越えればボスですよ。」
「ええ、ひゅま男(仮名)さん、お強いんですのね。」
 こりゃ、もうオレにぞっこんだな。
「なあに、たいしたことありませんよ。」
「じゃ、行きましょうか。」
「ええ。行きましょう。」
 あとは、ヒルデベアか、まあ、なんとかなるだろ。
「!!」
「ヒ、ヒルデブルー!?」
 マジかよ!?勝てるか・・・?

 と、ひゅま男(仮名)が考えるや否や、ヒルデブルーが雄たけびとともに宙を舞い、飛び込んで来た。あわれ、ひゅま男(仮名)フットスタンプにつぶされ、無様に転倒。

「ぐへぇ。」
 く、かっこいいオレ様が・・・。

 意識が薄れていく中、ひゅま男(仮名)の耳に、フォトンの集束する音が聞こえた。アイテムパックから装備を取り出した音だ。
 刹那、爆音が響いた。ひゅま男(仮名)は、頭を少し起こし、その爆音の方向を見た。

 げえ!?

「口から○ズーカ!!」
 なんと、ふぉま子(仮名)が、軽々とインフェルノバズーカを抱えて、乱射し、ヒルデブルーを倒していたのだ。しかも、薄笑いを浮かべた鬼気迫る表情で・・・。

 こ、この人、バズーカ打つの速っ!?

 再度、薄れ行く意識の中、ひゅま男は思った。
 ふぉま子(仮名)と付き合ったら、間違いなく尻に敷かれる・・・。ただでさえ、シフデバ使えないってのに・・・。


 気がつくと、ひゅま男(仮名)は、ふぉま子(仮名)にひざまくらをされている状態だった。

「良かった。気がつかれましたか?」
「は、はあ。」
 夢だったのか?
「ひゅま男(仮名)さん、また会っていただけますか?」
 彼女は可愛らしく微笑んだ。
 さっきのはどうやら夢だったようだな。
「もちろん!」

 そのとき、差し伸べられたふぉま子(仮)の手からほのかに火薬の匂いがしていたことに、ひゅま男(仮名)は気づかなかった・・・。

 〜fin〜





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