セカイノチュウシンデアイヲサケンダケモノ


怪を叫んだ獣


対話宇宙人 メトロン星人
ウルトラマンマックス 第24話「狙われない街」再登場

身長 2〜50m
体重 120kg〜1万8000t


ウルトラマンマックス「狙われない街」は、
ウルトラセブン「狙われた街」の後日譚として40年近くを経て描かれた。
監督も当時と同じ、実相寺昭雄監督。
登場するメトロン星人は、当時セブンに倒された本人(?)。
地球人に助けられ40年近く潜伏していた。
ちなみに写真のソフビ人形にも、セブンに真っ二つにされ、修復された跡(縫い目)が再現されている。

このメトロン星人、相変わらず人間臭い。
本当にちゃぶ台が良く似合う。
モロボシダンとちゃぶ台越しに対話したように、今作品でも主人公カイトと対話を行う。
饒舌になった気もするが、その憎めない侵略者ぶりは健在。
ウルトラマンに敗北するはずの侵略者にもかかわらず、
主人公の方が滑稽に見えてしまう妙。
実に魅力のある侵略者である。


余談だが、実相寺監督は、セブンの放映当時、メトロン星人の回でちゃぶ台、ペロリンガ星人の回で、商店街の蕎麦屋などを出して、円谷に大目玉を食らったそう。
円谷は当時、海外での放映も考え、日本的な要素を意識的に排除していたからだ。
だが逆に、その日本ぽさが、これらの話において雰囲気づくりに重要な役割を果たしているのは間違いない。
(ちなみに、ペロリンガ星人の回も非常にいい。ペロリンガ自体はマイナーだが、彼もなかなか魅力的な宇宙人で、妙な愛嬌の良さが悪魔的で逆に怖い)

40年前、人心を惑わすタバコを用いて、人間の信頼を断ち切る実験を行った彼は、今回は携帯電話の電波で同じことをしようとする。

だが…。
「地球の夕焼けは美しいなぁ。とりわけ日本の黄昏は…。」
こういい残し、メトロンは迎えの宇宙船に乗り込む。
結局、地球は自分が手を下すまでもなく、破滅の道を歩むから…。
という理由でメトロン星人は、侵略に見切りをつけ母星に帰還する。
でも彼は、40年地球に潜伏する中、地球人に命を助けられ、
地球をわずかでも、好きになったんではないかと思う。
40年前セブンに倒され、今度は同じ場所で、同じ美しい夕焼けの中、メトロンは帰っていく。
彼が今度は絶命の危機に見舞われずに本当に良かったと思う。
こう思ったのは私だけではないはずだ。


なお、実相寺監督は、2006年末に亡くなられました。
ウルトラシリーズを初め、日本の映像界に
多大な影響を与えた監督でした。
彼の作品は、今後もずっと愛され続けるはず。
ご冥福をお祈りいたします。
戦車怪獣 恐竜戦車
ウルトラセブン 第28話「700キロを突っ走れ!」登場

身長 60m
体重 7万t

強いものを2つ合体させると、凄く強いかというとそうでもないという好例。
この怪獣は、キャタピラの上に恐竜が乗っているという、非常にわかりやすいビジュアル。
戦車の機動力と恐竜の攻撃力を併せ持つ怪獣ならば強いような気もするが、実際は恐竜はただビームを出すだけで、実際は恐竜のビジュアルをした単なる戦車なのかも。
攻撃方法は、上記のビームと、キャタピラで轢くだけ。
実際の戦車よりも、設計的に攻撃範囲に難アリという意味では、ガンダムでいうとガンタンクみたいなやつ。
ちなみに劇中では、単に「恐竜」と呼ばれていた。
機能は戦車、呼び名は恐竜という微妙に矛盾に満ちた怪獣。

彼を操っているのはキル星人。
地球防衛軍が開発したスパイナー爆弾を奪おうとした。
しかし、キル星人自身は、ラリーに紛れてバイクに乗ったライダーの姿でちょこっと登場するのみ。
どういう能力を持っているのか、それ以前にビジュアルすら謎の影の薄い宇宙人だった。
(セブンでは、他に名前だけはあるが姿がはっきりしない宇宙人が何体かいた。
見直してみると、物語自体はよく出来ているものの、恐竜戦車のインパクトが強烈すぎて、その他のことは印象に残りにくいかもしれない。

ちなみに、この怪獣の読みは公式には「きょうりゅうせんしゃ」だが、過去には「きょうりゅうたんく」と読んでいる文献もあり、現在も後者の読みで覚えている人が多いかもしれない。
他にも、「パンドン」が「バンドン」と書かれていたり、「ビラ星人」or「ヴィラ星人」など記述が定まらないものがたまにいたりする。



08/9/20

大蟻超獣 アリブンタ
ウルトラマンA 第28話「大蟻超獣対ウルトラ兄弟」登場

身長 57m
体重 6万2000t
登場作品:ウルトラマンA 第5話


東京の地下に潜み、人間の血液を求めて、アリジゴクに引きずり込んだ。
その後、地上にギロン人とともに出現し、破壊活動を行うも、Aとゾフィーのタッグにお互いの頭部を打ちつけられ絶命した。

なかなかグロテスクな造形と配色、かつ重量感があり、いかにも超獣といったデザイン。
お話や演出もなかなか不気味で、Aのピンチにゾフィーが駆けつけるというサービス満点の回。
ゾフィーの地上波での戦闘はこの回が初めてかと思われる。

全くの余談だが、この回を見ていて、アリブンタが東京の地盤を崩壊させるという展開で、崩れるビルを見て姉●設計士の耐震偽装問題を思い出した。

ただ、このアリブンタは結構個人的にアバウトな設定の怪獣というイメージが強い。
番組中にアリという表現が出るが、アリジゴクを発生させるし、外見はシロアリのようでもある。
結局こいつはアリなのかアリジゴクなのかシロアリなのか未だによくわからない。
ちなみに以前読んだAのマンガでは、アリの超獣という設定で、マンションをアリが食べるといった、番組とは全く異なる話だった。

ちなみに、この回はまだ第4話なのでストーリーも怪獣のデザインも力が入っている。
というのも、Aというか帰ってきたウルトラマン以降は、序盤はすごく気合が入った作りになっている。(Aは巨大ヤプール以降、新マンはブラックキング以降か)
この頃のは途中から予算の関係か息切れをしたのか、かっこわるい怪獣や気の抜けた感じの話が増えたりする。


写真は食玩「究極大怪獣」のもの。
(高くて中身が選べないのが微妙なシリーズだが、出来はいい)

09年7月13日


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